こちらの記事の続きです。最終日、入山した鳥倉に下山します。
4日目は、中岳避難小屋を出発し、荒川前岳の急な崖・ザレの下りに注意しながらカールを下り、高山裏避難小屋、小河内岳を経て、初日に立ちよった三伏峠に戻ります。
三伏峠からは、初日と同じルートで鳥倉登山口までとなります。
鳥倉登山口からは伊那大島駅・松川インターまでの登山バスを利用しました。
大鹿村 : バス時刻・運賃表(路線バス・登山バス) (vill.ooshika.nagano.jp)
目次
荒川中岳にて日の出鑑賞
前日に荒川前岳の登山道の状態を確認しに行ったところ、登山道の崩落が進み、ハイマツ帯を突破するような道になっていました。
カールの下りまで崖っぷちの道が続くため、明るくなってから通過できるよう、荒川中岳で4時半過ぎの日の出を見てから出発とします。
中岳避難小屋の宿泊者は7名ほどでしたが、早い方は3時台にはもう出発していたようです。
朝4時には小屋の1階の電気が付けられていて、ストーブでやかんのお湯が沸かされていました。小さな小屋での気遣いが暖かいです。
小屋から少し登ると荒川中岳。
前日はすっかり周囲がガスに包まれていたのですが、朝はすっきり晴れていました。
同宿の千枚岳方面に行かれる方々と日の出を待ちます。。。
荒川中岳~高山裏避難小屋
日の出タイムを楽しんだら、まずは荒川前岳に向かいます。
中岳から荒川小屋から登ってきた稜線鞍部に少し下って、また少し登ると前岳です。
山頂道標付近は地面に大きく亀裂が入っていて、もう何年かしたら崩落してなくなってしまいそうな感じでした。
ふと荒川三山の西側の崩落している方を見ると、大きな三角形の山の影が出ていました。
遠くまで続いている大きな影に驚きました。
影富士なのか、影荒川三山なのか・・・早朝の稜線にいたことで見ることができたようです。
カールの下りに入るまで、登山道は崩落地のギリギリのところにあります。
細心の注意を払いながら進みます。。。
カールの途中で高山裏避難小屋から登ってきている方とお会いしました。
この登りは、森林限界超えるまでの樹林帯がなかなか急です。。
カールの底からは、樹林帯のトラバース道に入ります。
途中の水場、細いですが冷たくて美味しいです。
高山裏避難小屋までは比較的平たんで歩きやすい道が続きます。
小屋手前の小さなお花が咲く広場が、雰囲気が良くてお気に入りの場所です。
テントサイトが出てきたなぁ、と思って歩いていたら避難小屋の前に出ました。
小屋番さんのお話が面白くて、ここも宿泊したいなぁ。。と思いました。
崩壊が進む荒川前岳への登山道は、もっと低い位置にトラバース気味に付け直ししようとしているようで、国の許可も取得済みのようです。
中岳避難小屋・小河内避難小屋の小屋番さんと一緒に登山道を直しに行ったところ、ひどいガスで自分たちが道に迷いそうになってしまい、あえなく見送りとなったが、もう数年ぐらいで山頂落ちちゃうだろうなぁ・・・と。
避難小屋の小屋番さんは1人で、小屋の運営だけでなく、登山道の修繕、、様々な課題に向き合っているのだなと改めて認識することができました。
夏の限られた期間のみ営業している南アルプスの小さな避難小屋・・・また利用しに来たいと思いました。
高山裏避難小屋~小河内岳
荒川中岳から三伏峠までは、かつて南アルプスを光岳から甲斐駒ヶ岳まで縦走したときに、1度だけ歩いたことがあります。
その時は結構疲れている中、水の歩荷もしていて、延々と続く崩壊地・樹林帯・草原の繰り返しに「長い・・・」と思いながら歩いていました。
ガスっている中、小河内岳へのハイマツ帯の登りも長く感じ、なかなか堪えた思い出のある場所です。
今回は小屋泊装備で荷物が軽いので、余裕をもって登山道を楽しむことができました。
道中、いろいろな高山植物を楽しむこともできました。
崩壊地や樹林帯では、ところどころ眺望が良い場所が出てきます。
前回はガスっていたため、見ることができなかったのですが、改めて稜線がずっとつながっているのを実感しました。
兎岳から中盛丸山のアップダウンがなかなか強烈だったことはよく覚えているのですが、遠くからみても見事にギザギザですね。
大きなアップダウンの無い道を進み、樹林帯を出て小河内岳への登りに入ります。
小屋が素敵な場所にあるのがいいですね。
小河内岳へはハイマツ帯の中の、少し露岩が出ている箇所もある登山道を進みます。
一回登りきったかな、と思うと、まだ少し登りがある感じでした。
以前来た時は、ガスのへろへろの中のこの地形で、だいぶ疲労したようです。
黙々と登って小河内岳へ。
山頂で富士山を眺めて少しのんびりします(バスの時間調整もかねて)。
山頂でお話した方から「烏帽子岳もすごくよかったよ!」と言われ、前回の縦走での眺望の記憶がなかったことに気づいたのですが、どうやらこの先もガスの思い出に包まれていたようです。。
小河内岳~烏帽子岳~三伏峠
小河内岳から烏帽子岳までは、稜線歩きが気持ちいいルートですね。
歩いてきた塩見岳・蝙蝠尾根、富士山に囲まれていて、天気がいい日はいつまでものんびりしていたいような場所でした。
この辺りから、登山者が少し増えてきていた印象です。
前小河内岳に向かって、いったん少し下ってまた登り返し。
烏帽子岳への道を進みます。
途中、何やら人が立ち止まっていると思ったら、雷鳥の親子がいました!
解放感があって、歩くのが楽しいルートです。
日差しが厳しくてなかなか暑かったですが。。。
烏帽子岳山頂からは、大きく羽を広げたような塩見岳を見ることが出来ました。
塩見岳は山頂付近の岩場やクサリのイメージがありましたが、遠くから全容を見ると緑が深い山なのだなと思いました。
遠く、仙丈ケ岳や甲斐駒ヶ岳、間ノ岳といった南アルプスの北部の山々もよく見えています。
三伏峠周回ルートの全容を眺めながら歩くことができて、充実感や達成感が大きいです。
特に、何も見えなかった塩見岳・蝙蝠尾根を最終日に(比較的)近い場所から眺めることができたのが良かったです。
さて、三伏峠に向かいましょう。
烏帽子岳から三伏峠の間の、根曲がりの樹林帯の道、この場所は結構好きです。
ネットで守られていたお花畑。
黄色のじゅうたんのような光景です。
おまけ 三伏山
鳥倉登山口からのバスは1日2本のみで、登山口付近は炎天下になっている予感がします。。
あまり早い時間に降りてしまうと、なかなか大変そうなので、三伏峠からは、ゆっくり下山することとしました。
せっかく時間があるので、三伏山でお昼ご飯を食べてから降りることとします。
(ここも昼間はかなり暑いですが・・・)
塩見岳、また今度。
三伏峠~鳥倉登山口
この日は平日ということもあり、連休初日の入山日と比較すると人は少なかったのかな・・・という印象ですが、賑やかでした。
6~7合目まで降りれば水場があるので、そのあたりでまた一息つくこととして、のんびり登山道や景色を楽しみながら下山とします。
高度を下げると気温が上がり、徐々に灼熱のいつもの生活に近づいていることを実感します。
ふと頭に思いつくこと、あれやらないとな、これどうだったかな、の内容が、登山ルートや行程、装備の心配ごとから、いつもの生活に直結した内容に切り替わっていってました。
豊口山のコルのところで、また荷物を降ろして休憩をして、登山口にはバスの1時間前にはついていました。
小さな建物はあるもの、やはりかなり暑くて、途中の水場で冷たい水を汲んでおいてよかったです。
バスはほぼ時間通りに到着し、20人ぐらいの登山者を連れて降りて行きました。
Docomoの電波が入るようになったのは、だいぶ林道を降りてからだったと記憶しています。
電車で帰る予定であったため、伊那大島駅で降りましたが、松川インターに行って、そこから高速バスを利用される方が多かったようです。
4日間、南アルプスの充実した山歩きを満喫できました。
1つ1つの山が大きく、距離もある分、体力を要しますが、小屋番さんや、同宿の方との一期一会を楽しめるのが南アルプスの好きなところです。
また、じっくり歩きに来たいと思います。蝙蝠尾根の景色も見てみたいですね。