当時、南アルプス南部については、山友さんから、
「稜線に出るのに1日かかる」
「1つ1つの山のスケールがデカすぎて、次のピークに行くのにまた1日かかる」
「大変だけど、静かでいい山域だよ」
といった壮大な話を聞かされていました。
「いきなり行くべきではない山に違いない。何年か山を歩き、ある程度は自分の体力が分かってきてからにしたほうが良さそうだな。。。」と、考えていました。
また、南アルプスは、北岳、鳳凰三山、甲斐駒、仙丈ヶ岳といった、関東からの交通アクセスの良い北部の山々は歩いたことがあったのですが、南部は全くの未踏のまま。
北アルプスのテント泊縦走を3年連続で歩くことができていましたので、そろそろ行こうかな。と思い、夏休み休暇を利用した南アルプス南部縦走を計画しました。
なお、計画では光岳から仙丈ヶ岳までの予定でしたが、事前の天気予報通りの雨で、赤石岳で敗退となりました。
雨とガスで景色の写真はありません(;_;)
1日目: 沼平ゲート5:15 ~ 5:50畑薙大吊橋 ~ 6:21ヤレヤレ峠 ~ 7:15ウソッコ沢避難小屋 ~ 8:50横窪沢小屋 ~ 11:04茶臼小屋11:30 ~ 12:00茶臼岳~ 12:35希望峰12:45 ~ 13:58易老岳14:15 ~ 16:20光岳小屋(テント泊)
2日目:(光岳によってから出発)県営光岳小屋5:25 ~ 7:21易老岳 ~ 8:57希望峰9:13 ~ 9:53茶臼岳 ~ 11:56上河内岳 ~ 12:45南岳 ~ 13:50聖平小屋(テント泊)
3日目: 聖平小屋2:10 ~ 2:34薊畑分岐 ~ 3:24小聖岳 ~ 4:43聖岳 ~ 6:41兎岳 ~ 7:28小兎岳 ~ 8:22中盛丸山 ~ 8:3分岐 ~ 9:15百間洞山の家10:00 ~ 11:04百間平 ~ 13:18赤石岳避難小屋(避難小屋泊)
4日目:赤石岳避難小屋5:01 ~ 5:04赤石岳 ~ 6:23富士見平 ~ 9:40椹島ロッジ
初日、毎日あるぺん号を沼平で降りて、しばらくはアスファルトの車道を歩きます。
そして、この大吊橋です。
しっかりしたつくりなのですが、200m以上もあるとさすがに怖い。
橋を渡ってしばらく山道を登っていくとヤレヤレ峠。
ここからはゆるやかになり、つり橋をいくつか渡った末にウソッコ沢小屋。
ウソッコ沢小屋からはパイプの階段登りになり、急登になります。
登って、登って、、、せっかく上ったのに降りると横窪沢小屋。
小屋の手前を通って、右手側からまた急登。。。汗だくです。そしてさすが南アルプス、稜線が遠い。
倒木ベンチで一息いれて、茶臼小屋へ。
暑い急登の疲労はありましたが、冷たい小屋の水でリフレッシュ。
ちょうど聖平から光小屋に向かう方がいらっしゃったので、以降同行させていただく。
黒戸尾根経由で甲斐駒ヶ岳からずっと歩いてきたそうで、これから歩くコースの様子など教えていただく。
茶臼岳を越えると木道が整備された、こんな素敵なハイキングコースもあります
途中睡魔に襲われ、仮眠をとったり、雨に降られたりしながらもなんとか日暮れ前に光小屋に到着。
通り雨が過ぎるのを待って、テントを設営。光岳は翌朝としました。
2日目
薄暗いうちに光岳、光岩を見に行き、テントを撤収して聖平に向かいます
雨には降られませんでしたが、2日目もガスで何も見えず。。。
光小屋からまた樹林帯をひたすら歩きます。
写真は上河内岳の近くの奇岩竹内門
何も景色は見えないので、ゴージャスなマツムシソウに癒されることとする
靄のなかのお花畑
雲の中を歩いて聖平へ
楽しみにしていた聖平小屋の名物フルーツポンチ
テントと物干し竿
3日目。
夜はずっと雨でした。テントをたたく雨音で何度も目が覚めてしまい、3時に聖平を出るつもりが2時すぎには片付けが終わってしまいました。
暗くて雨のふる聖岳を上っているうちに、もう靴が浸水してダメになりました。
後になって思えば、もうこの時点で聖平に戻って下山しても良かったと思いますが、先に進みました。
ちょっとした岩場も歩いたりしながら、雨と風の中、兎岳、小兎岳、中盛丸山と越えていく(寒くてまともに休めず)
この雷鳥軍団は兎岳あたりで見かけたのかな。
稜線からトラバース道に逃げ、百間洞山の家へ。ここでホットミルクを頂く。
お昼ご飯を食べて、赤石岳に向かって再出発。
楽しみにしてきた百間平は何も見えない平地。そこから大斜面のトラバースをゆっくり上っていくと・・・
もはや超視界不良!
小屋の目の前でこれって・・・(※赤石岳の避難小屋です)
計画ではこの先の荒川小屋まででしたが、ぬれねずみで半分思考停止していました。
「とりあえず小屋に入ろう」と思い、山頂にも探さずに小屋へ。
小屋にはいったらたくさんの大型ザック、シュラフ、シュラフカバー、レインウエア。
ずいぶん賑やかだなぁ。と思って眺めていたら、すぐに女性の小屋番さんが出てきて「どこまで行くの?(たしか、一応荒川小屋を目指していることを伝えました)」
「先に進むの?何か困っていることはない?(靴が浸水して靴下が濡れているのと、雨でだいぶ服が濡れてしまったので、先に進んだとしても小屋泊にして装備を乾かすつもりと伝える)」
「実は奥に学生さん達がいるんだけど、大聖寺平の強風と冷たい風にやられて低体温症になってここで停滞しているの」
よく見たら小屋にはひっそりと学生さんたちがいました。
布団にくるまって安静にしている方の姿も見えました。
(正直この時点では、まだ「どうしよう」という状態のままで、先に進むか停滞するかは判断できていませんでした。
ただ「何か困っていることはない?」と言われて、こんな状態で先進むのは厳しそうだな。。と悩み始めました。)
すると、奥から男性の小屋番さんが出てきて、
「姉ちゃん、どこから来たんだ?」「何時に出てきたんだ?」「どこまで行くんだ?」といった質疑応答の末、先に進むか悩んでいますと伝えると、
「こんな日に歩いたら、山が嫌いになる。撤退しろ!」
決して怒鳴られたり、行動を否定されたのではありません。
しかしこの一言は心にぐさっと刺さりました。
こんなぬれねずみで、足元だけ見ながら心を無にして延々と歩き続けて、果たして私は本当に楽しいんだろうか?
・・・また晴れ予報の時に来ればいいんだ。もう無理や我慢はやめて中止しよう。
と、ようやく決意をすることができました。
小屋番さんに「明日下山します、今日は泊めてください」とお願いして、受付してもらったら・・・
「よ~し、それじゃ昼間っから飲むぞぉ~~~ヽ(゚∀゚*)ノ」
えええええええええ、そうなるんですか。
っていうか、いいんですか(笑)
3000mの風雨の山小屋の午後。やることないです。飲むしかないです。
おつまみ頂いたり、四季折々の赤石岳の話をお伺いしつつ、小屋番さんとの愉快なひと時を楽しみました。
下山後のおすすめ宿をいくつか紹介してもらい、携帯電話をお借りして予約を試みましたが、どこもNG。。
明日は下山して電波の入るところについたら、とにかく宿探しをしなければ、汗。。
4日目。出発するときに小屋番さんから「忘れ物のストックを椹島に届けてほしい」と頼まれる。
お世話になった小屋番さんに挨拶をして、ストック担いで下山開始です。
小屋からすぐの赤石岳。雨は降っていませんでしたが、ガスです。
富士見平あたりで少し雲が切れましたが、最後まで稜線を見ることは叶いませんでした
赤石小屋でストック荷下ろしのご褒美のジュースを頂き、一息ついたら一気に椹島に降ります。
看板がかわいかったので一枚
椹島にでる直前にザーザーぶりの雨が降り始め、慌てて雨具を出して何とか下山。
椹島ロッジにストックを届け、畑薙第一ダム駐車場へのバスにのり、駐車場からは赤石避難小屋で同宿の女性の方に井川駅まで車に乗せていただきました m(_ _)m
かなり苦労してのぼった稜線ですが、下山はあっという間でした。
駅では観光資料をもらい、宿泊先を探すべく、かたっぱしから宿に電話です。
当日で1名はとにかく断られる。。。。
10件近く電話の末、寸又峡温泉の宿で予約OKというところが見つけることができました。。
これで温泉につかって、布団でゆっくり眠ることができる。ほっ。
さて、井川駅からこのアプトラインという列車に乗ります。
駅の少年が景色の楽しめるおすすめの車両にまで案内してくれました。
さらにこの少年は、濡れて重くなった登山靴の入った袋を運んでくれました。。
ありがとう小さな駅員さん!!
アプトラインは観光放送つきで、次々でてくるダムや名所の説明を聞くことができます。
夏の濃い緑に囲まれた自然の中を、心地よい風が吹き抜ける列車で巡っていきました。
アプトラインを奥泉駅で下車し、バスに乗って寸又峡温泉に向かいます。
当日の連絡にも関わらず、快く受け入れてくださった光山荘へ。
http://www.tekarisanso.jp/index.html
「光岳に行ってきましたよ」と女将さんに伝えたら、とても喜んでくださいました。
以前は寸又峡左岸林道から光岳に上る登山者の往来があったが、林道崩壊で通行できなくなり、すっかり光岳に向かう登山者が減ってしまった。とのこと。
光小屋建設の話やしらびそ高原から光岳を見に行った話など、いろいろなお話を伺いました。
さて、お風呂に入り、お楽しみの宿の晩御飯。
イノシシの鍋。大満足!敗退してここにこれてよかった!(笑)
最終日。宿の女将さんおすすめの「夢の大吊橋」に行ってみることにします。
カモシカさんに挨拶して、ゲートを通過し、しばらく車道を歩いていくとつり橋に出ます。
有名な「夢の大吊橋」です。
雨で濁ってしまい、チンダル現象の真っ青な色は見ることができず。。(残念ですが、これは予想通り)
あいにくの天気でしたが散策されている方は何名かいました。
時間はたっぷりあるので、ちょっと階段を上っていったら・・・
「やれやれ」がまた出た Σ(・ω・ノ)ノ!
(静岡ではよく使う言葉なのかしら。。)
東京への帰り道、途中の千頭駅で智者の丘という公園に行ってみたり、機関車トーマスの車両を見たりして、観光を楽しみながら電車で帰京しました。
この縦走以降、天気予報が良くない場合は、無理に山に行くことはなくなりました。
登山を長く続けていければ、いつかきっと最高の晴れの日にも歩くことができるはずですからね。
ちなみに2016年の秋、もう1回同じコースを歩こうとしましたが、休みと台風がぶつかってしまい、聖平小屋に泊まっただけになってしまいました。。。
近々、三度目の正直はやってくるだろうか。。。
南アルプスの山小屋は小屋番さんとの会話が楽しいです。
また赤石避難小屋の小屋番さんに会いに行きたいな、と考えています。
長くなりましたが、夏の過去の縦走はここまでです。
2015、2016年は行けなかったなぁ・・・。
8月ぐらいに向けて、秋の縦走記録をまとめて行こうかな。
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